閑話休題 エイジングビーフ 熟成肉

最近流行っている「熟成牛肉」・・・・。
そもそも「牛肉は熟成させるもの」という認識なので、世間に広まって大変嬉しいです。
でも、この言葉が流行りすぎて、消費者をごまかすような表現をするお店が出てきていることにちょっと腹が立ったので、物言いさせてください。


先日、桜木町のステーキ店に「2週間熟成のお肉がこんなに安く食べられます!!」と垂れ幕が出ているのを見て、ちょっとびっくりしました。
というのも、普段私たちがスーパーで購入し食べている牛肉だって、屠殺後、販売業者のチルド倉庫で10日くらい寝かせてから出荷されます。店頭に並ぶころは、2週間程度たっています。つまり、そこのお店のお肉は普通に流通しているお肉なのでは??ってことになります。
ステーキ200G(輸入牛)のランチセットで、1200円くらいでしたので、まあ目くじらをたてるほどの値段ではありませんし、嘘をついているわけではないのでしょう。でも「あたかも付加価値がついています」のような書き方は、どうなのでしょう?
この流通に関しては、某食肉メーカーで事務仕事していたときに品質管理の社員さんに伺った話で、肉の入荷日と倉庫出荷日は自分でも伝票で見ていました。
硬直した肉が柔らかくなって、うまみ成分が出てくるのが10日から2週間くらい。3週間目くらいがうまみが増してくるので、そのメーカーでは店で在庫する期間も考慮して出荷していました。ちなみに、輸入ビーフは、船のチルド冷蔵庫で寝かせながら輸送(関税などの時間も配慮)しているとのことでした。
ということで、お店で「熟成」と銘打つからには1ヶ月は寝かせたものをいただきたいなと、個人的には思う訳です。
ちなみに「熟成」させるには温度と湿度をきちんと管理した状態で寝かせます。管理が不十分だと熟成ではなく「腐る」という状態になります。
スーパーの牛肉の見切り品で、重なったお肉をめくったら黒緑っぽくなっていたことはないですか?これは組織が壊れて、だめになりつつある状態です。時間がたてば美味しいっていうものではないということも覚えておいたほうがよいですね。
話はちょっとかわりますが、「熟成牛肉はうまい」が定着するまで、グルメ番組などで「美味しい焼肉」屋やさんのコメントでちょいちょい「新鮮な牛肉」という表現が出てくることにも、私は腹が立っていました。純真な友人はこの言葉を聞いて美味しい焼肉やさんのお肉は「鮮度が良いんだ(捌きたて)」って、まだ信じています。マスコミの言葉の影響力は強力なようです。
たびたびこの表現を使用するこ某TV局のグルメ番組には本気で腹が立ったので、私、クレームメールをいれたこともあります(笑)。
「鮮度の良い牛肉」は、くさくて硬くて美味しくないそうですよ。(・・食べたことはないので味の断言は出来ませんが)牛肉が生で食べられるのは、部位が大きく、肉内部に雑菌が入らないように捌き調理を行うことができるからなのですから。決して鮮度が良いわけではないときいています。(ホルモンなどの内臓は別。これは、捌きたて当日に食すに限りますけどね!)
みなさん、マスコミの言葉に踊らされず、自分が美味しいとおもうものを食べましょうね~。
「30日~3ヶ月熟成」を謳っていらっしゃる某有名店は、私もぜひ一度行ってみたいと思っています!